かんざしと河童
広島県 |
たきのふちに住む河童は、かんざしに化けるのがうまい。 いつも川の中でかんざしに化けて、それを拾おうとする女の人をつかまえ、悪いことをする。
今日もかんざしに化けて待っていると、女の人ではなくて、侍がやって来た。 「おやっ、かんざしが川の中に落ちているぞ。 拾っていこう。」 侍は川へ入って、かんざしを拾おうとしたとたん、かんざしはぱっと河童になった。 そして、侍をぐいぐい引っ張って、たきのふちへ引きずっていこうとした。 「ややっ、河童が化けたのか。」 侍は強い。 うーんと力を入れて、反対に、河童を岸へ引きずり上げてしまった。 「これはまいった。 助けてくれ。」と、河童は足でしがみついていた岩が、大きなあなを開けてのこっているそうだ。 |
起源: かっぱ・てんぐ・おに ぞろぞろ百科 1985 Gakken, pg. 42 |