夏の夕方、万米が馬を川へ入れ、田んぼを見回っていると、ヒヒヒヒーンと馬の鳴き声。
おどろいて、もどってみると、河童が馬を川の深い所へ引きこもうとしていた。
「このいたずら河童め。」
万米は河童をつかまえると、家の物おきの柱にしばりつけてしまった。
河童は、頭のされの水がなくなっていたので、しょんぼり。 そこへ万米の母親が、馬にやる‘ドウズ’という米のとぎじるを持って通りがかった。
河童は母親を見ると、ばかにしたような顔をしたので、「河童のくせに、なんだい!」とおこって、母親はしるを河童にひっかけた。
すると、しるが頭のされに入ったので、河童は元気百ばい。 しばられていたつなを引きちぎって、川へにげてしまったとさ。
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