万米と河童
長崎県 |
夏の夕方、万米が馬を川へ入れ、田んぼを見回っていると、ヒヒヒヒーンと馬の鳴き声。
おどろいて、もどってみると、河童が馬を川の深い所へ引きこもうとしていた。 「このいたずら河童め。」 万米は河童をつかまえると、家の物おきの柱にしばりつけてしまった。 河童は、頭のされの水がなくなっていたので、しょんぼり。 そこへ万米の母親が、馬にやる‘ドウズ’という米のとぎじるを持って通りがかった。 河童は母親を見ると、ばかにしたような顔をしたので、「河童のくせに、なんだい!」とおこって、母親はしるを河童にひっかけた。 すると、しるが頭のされに入ったので、河童は元気百ばい。 しばられていたつなを引きちぎって、川へにげてしまったとさ。 |
起源: かっぱ・てんぐ・おに ぞろぞろ百科 1985 Gakken, pg. 44 |