市十の相撲
熊本県 |
ある夜のこと、市十が田んぼのあぜ道をあるいていると、何十ぴきもの河童があらわれた。
「おいっ、相撲をとろう!」河童が言うので、市十はびっくり。 「はちがへっているから、少し待ってくれ。」 市十は近くの知り合いの家へとびこむと、ほとけ様にそなえたごはんを食べさせてもらい、あまったごほんつぶは、おでこにぬりつけて、あぜ道へもどって行った。 「さあ、河童ども。相撲をとろう。」市十が言うと、「おまえの目は光っておそろしい。 相撲はやめた。」と言って、河童たちは、あわててにげて行ってしまった。 ほとけ様にそなえたごはんを食べると、目が光って、河童はこわがる。 市十はこのことを思い出して助かったというわけ。 |
起源: かっぱ・てんぐ・おに ぞろぞろ百科 1985 Gakken, pg. 44 |