九千坊
長崎県 |
昔、九州の雲仙温泉の近くに、九千坊と呼ばれる河童の親分が住んでいた。 九千坊は子分を引きつれて湯の町へ現れ、いろいろないたずらをしたが、なにしろ馬のしっぽをつかんで川へ引きずりこむほどの怪力だったので、だれも九千坊にかなわなかった。 これを聞いた満明寺の赤峰という和尚が、仏法の力で退治しようとしたが、九千坊は神通力をもっていたので、三日たっても勝負がつかなかった。
そこで和尚は、負けたとみ見せかけて、火山の熱いガスが噴き出ている地獄谷の方へ逃げだした。 九千坊は和尚を追いかけるうち、ガスの熱気のため頭の皿の水がなくなり、とうとう倒れてしまった。 そのとき、和尚がもぎとってきたという河童の手が、今でも雲仙の釈迦堂という寺に残っている。 |
起源: 妖怪大図鑑 (ビッグ・コロタン 12) 1987 ?, ISBN4-09-259012-1, pg. 167 |